アカネ

アカネ(アカネ科)[茜]

名は、根を材料として赤い染料をとり、赤根といわれたことからついたもの。
ありふれたものだが、この草の真価はその根の有用性にある。生根は黄橙色で、主たる色素としてプルプリンを含み乾くと赤くなり、日本最古の赤色の染料として昔から重宝されてきた(茜染め)。茜色とは暗赤色のことで明るい茜色は緋色(ひいろ)という。深みがありながら柔らかく優しいその色合いは、古来多くの人々に愛され、「あかねさす」という枕詞として多くの歌に詠み込まれ、またロマンチックな語感から女性の名前にもよく使われてきた。今では主たる色素がアリザリンで簡単に濃く染まるセイヨウアカネの根がもっぱら使われている。薬用としては根を乾燥されたものを茜草根(せいそうこん)といい、通経、止血、利尿、解熱、強壮などに用いられる。
茜染めの技法は、紫根染めの技法とともに秋田県鹿角市の栗山家が唯一守り伝えていたが、後継者がなく一度途絶えた。現在は市民がその技法を守り伝える努力をしていると聞く。
なお、東京都港区の「赤坂」の地名の由来として「茜坂」の転という説があり、かつて紀伊国坂にはアカネが多く、茜坂とよばれていたという。

道端や林縁に普通に生えるつる性の多年草。根は太いひげ状で分岐する。茎は4稜があり、よく分枝して稜上に下向きの刺があり、他の草に絡まって2mほどに伸びる。
葉は長さ1-3cmの柄について2個が対生するが、葉と同じ形の2個の托葉があるので4個の輪生に見える。これを偽輪生という。葉は長さ3-7cm、幅1-3cmの3角状卵形~卵形または狭卵形で全縁、基部は心形で先はしだいに狭まってとがり、裏面脈上と葉柄に下向きの刺がある。
葉腋から集散花序を出し、多数の花をつけるが、くすんだ黄緑色のため目立たない。小花柄はやや太く無毛で長さ1-4mm。萼は鐘形で無毛、5裂するが萼裂片はほとんど発達しない。花冠は黄緑色で直径3-4mmの杯状、5裂して裂片は卵形で先はとがり、平開~反曲する。雄しべは5個で花筒につく。子房は2室で各室に1個の胚珠がある。花柱は短く、深く2裂する。
果実は液果で10-11月に熟す。普通2個が合着して中央がくびれた横に長い楕円形で黒熟するが、ときに1個のみ成熟して直径約5mmの球形となる。中に各1個ずつ核が入っている。
花期:8-10月
分布:本・四・九
撮影:2005.7.30 秋田県能代市
アカネの果実
アカネの果実。普通は2個が合着しているが、ときに1個だけが成熟すると球形になる。
2005.10.30 青森県八戸市

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