イヌシデ

イヌシデ(カバノキ科)[犬四手]

シデノキともいわれるアカシデに似ているが、別種であることからイヌの名を冠したもの。「四手」は「紙垂」とも書き、玉串や注連縄(しめなわ)につけて垂らす布や紙のことをいい、果穂の形をこれに見立てたもの。別名シロシデ(新葉に白毛が多いことから)、ソネという。
低地~山地の雑木林に普通に生える雌雄同株の落葉高木で高さ10-20mになる。樹皮は灰褐色で平滑、地衣類が着生して灰白色の縦長の網目模様が生じ、老木になると浅い裂け目ができる。若枝や若葉は白い伏毛が多い。
葉は互生し、長さ4-8cm、幅2-4cmの卵形~卵状長楕円形で縁に鋭く細かい重鋸歯があり、基部は円形~広いくさび形、先は短く突き出てやや鈍い。表面は光沢がなく脈間に伏毛が僅かにあり、裏面は淡緑色で側脈が突出し、脈上や脈腋に毛がある。側脈は12-16対。葉柄は短く、長さ0.5-1.2cmで淡褐色の毛が密生するが赤みを帯びない。葉は秋に黄葉する。
新芽の展開と同時に開花する。上の写真は雄花序。雄花序は黄褐色で長さ5-8cm、前年枝の葉腋について下垂する。雄花は苞の下に1個ずつつく。苞は卵状円形で縁に長毛がある。雄花には雄しべが数個あり、葯の先にひげ状の長毛がある。雌花序は本年枝の先端や短枝の腋について新葉とともに上向きに伸び、しだいに下垂する。雌花は広卵形の苞に2個ずつつく。花柱は紅色で先は2裂する。
果穂は長さ4-10cmで下垂し、長さ1.5-3cmの半長卵形の葉状の果苞がややまばらにつく。果穂の柄には軟毛が密生する。果実は堅果。果苞と一体として見れば翼果で、風に乗って遠くに運ばれる。堅果は果苞の基部につき、長さ4-5mmの広卵形で10月頃に熟す。表面に10個ほどの縦筋がある。果苞は長さ1.5-3cm、先は鋭くとがり、片側のみに不揃いの鋸歯がある。
材は建築、器具などに利用される。
よく混生しているアカシデは葉の先が長く伸び、葉柄はしばしば赤みを帯びて長さ0.8-2cmと長く、ほぼ無毛。花や若葉は赤みを帯びる。葉は秋には赤く色づく。クマシデは長さ6-11cmと葉が大きく、側脈も20-25対と明らかに多い。サワシバは葉の基部が明らかに心形となる。
花期:4-5月
分布:本(岩手・新潟県以南)・四・九
撮影:2018.4.3 神奈川県茅ヶ崎市
イヌシデの果穂
果苞の片側のみに不揃いな鋸歯がある。 2019.5.29 神奈川県横須賀市

イヌシデの葉
葉の先はアカシデほど長く伸びない。 2019.5.29 神奈川県横須賀市

イヌシデの樹皮
成木の樹皮には灰白色のはっきりとした縦長の網目模様がある。 2017.4.5 神奈川県鎌倉市

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