イヌツゲ

イヌツゲ(モチノキ科)[犬黄楊・犬柘植]

ツゲに似ているが役に立たない(櫛や印鑑の材料にならない)ということでこの名がある。一般に単にツゲとよばれるが、本物のツゲはホンツゲともいい、別の科(ツゲ科)のまったくの別種。「ツゲ」は「次」の意で、次々と葉が密に生えてくるからという説がある。
山地の林縁や草地に普通に生える雌雄異株の常緑低木~小高木で、よく分枝して高さ1-3mのものが多いが、まれに高さ15mに達する高木になる。本年枝は緑色で稜があり、細毛が生える。
強剪定に耐えるので生け垣、庭木や盆栽として植栽される。樹皮は灰褐色で皮目が多く、約10%の鳥もちを含むが、モチノキから作ったものが最良で本もちとか白もちといい、イヌツゲなどから作ったものは青もちといわれる。
葉は密に互生し、革質で両面とも無毛、表面は濃緑色で光沢があり主脈は淡色、裏面は淡緑色で灰黒色の腺点が散在する。長さ1-3cm、幅0.5-1.5cmの楕円形~長楕円形で縁は数個の低い鋸歯があり、先は鈍形で基部は広いくさび形。葉柄は長さ1-3mmと短い。
本年枝の葉腋から花序を出し、淡黄白色の花をつける。雄花序の軸は長さ0.5-1.5cm。雄花は2-6個が散形状につき、雌花は葉腋に1個ずつつく。萼片は4個で広3角形。花弁は4個で長さ約2mmの円形~卵円形。雄しべは4個、雌花では雄しべは小さく退化し、4室に分かれた子房と1個の雌しべがある。柱頭は4裂する。
果実は直径5-7mmの球形の核果で、10-11月に長さ5-8mmの柄の先に黒色に熟す。核は長さ4mmほどの3角状楕円形で数個あり、中に1個の種子を入れる。
果実だと勘違いしている人がいるが、しばしばイヌツゲタマバエが葉芽に寄生し、イヌツゲメタマフシとよばれる虫癭ができる。
変異が多く、多くの変種や品種がある。葉が長さ2.5-4cmに達するものをオオバイヌツゲといい、葉が倒卵形で枝先に集まるものをキッコウツゲといって栽培される。その他、ツクシイヌツゲ、ハチジョウイヌツゲ、ムッチャガラ、よく栽培されるものに若葉が黄色のキンメツゲや葉面が反曲するマメツゲがある。
変種のハイイヌツゲは、北日本の山地の湿地に生え、下部は地をはい、丈は低く普通0.5-1m程度。葉は長さ1cmほどで花や果実はほぼ同じ。
花期:6-7月
分布:本(岩手県以西の太平洋側、近畿以西)・四・九
撮影:2016.6.6 神奈川県横須賀市
イヌツゲの花
雄花。4個の雄しべがある。 2016.6.6 神奈川県横須賀市

イヌツゲの果実
果実は直径5-7mmで黒色に熟す。 2018.11.8 横浜市戸塚区

イヌツゲの虫こぶ
葉芽にできた虫癭(虫こぶ)でイヌツゲメタマフシという。 2018.2.9 横浜市緑区

イヌツゲの樹皮
樹皮は灰褐色で皮目が多い。 2018.2.27 横浜市栄区

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