キキョウ

キキョウ(キキョウ科)[桔梗]

ご存じ、秋に七草の一つであるキキョウ(万葉集で山上憶良が詠んだ秋の七草では朝貌[あさがお]とよばれている)であるが、名前は誰も知らない人がいないほどなのに、野で咲いているのを見たことがあるのはほんの一握りの人だろう。それほど珍しいものになってしまった。キキョウが好む環境は、日当たりのよいやや乾いた草原。ススキの生えるような茅原が少なくなってしまったということか。子供のころは野で見たことはなかったが、庭で栽培していて風船のように膨らんだ蕾を指で潰し、「ポン」と鳴らしてたわいもなく遊んだ思い出がある。絶滅危惧Ⅱ類(VU)。
名は、漢名の桔梗を音読みしたもの。
山野の乾いたススキ草原に点々と生える多年草で、茎は円柱形で直立し、ときに上方で分枝して高さ0.4-1mになる。根茎は黄白色で太く、地中深く伸びる。茎や葉、根茎を切ると白い乳液が出る。
葉は無柄またはごく短い柄があって互生し、長さ4-7cm、幅1.5-5cmの長卵形~広卵形で先はとがり、縁に鋭い鋸歯がある。表面は無毛で裏面は短毛があってやや青味がかった緑白色。
キキョウは秋のイメージが強く季語としても秋であるが、花が咲くのは真夏。栽培するとさらに早い。茎頂近くに上向きに1-数個の蕾がつき、やや横向きに開花する。花冠は直径4-5cmの鐘形で青紫色(まれに白色)、先が深く5裂し、裂片は広く開く。萼は5裂し、裂片は長さ0.5-5mmの3角状披針形。雄しべは5個で花糸の基部は幅広く、花冠裂片と互生する。子房は下位で5室。柱頭は5裂して裂片は線形。
開花後まもなく雌しべを取り囲んでいる雄しべが熟して花粉を放出し、花粉を出し終わると雄しべが倒れる。そして雌しべが伸びだし、柱頭が5裂して開き、他の花の花粉を受ける。これは自家受粉を避ける巧妙な仕組みで雄性先熟という。ツリガネニンジンソバナツルニンジンなどキキョウ科のほとんどが同じ仕組みをもっている。
果実は倒卵形の蒴果で多数の種子を含み、上端から胞背裂開する。種子は長さ2mmの広楕円形、黄褐色で微細な突起がある。
根茎はキキョウサポニンを含み、乾燥したものは漢方で桔梗根、晒桔梗とよばれ、鎮咳去痰などに使用される。
花期:7-9月
分布:北・本・四・九
撮影:2004.8.1 岩手県北部
キキョウ2
普通は花冠は5裂のものがどういうわけか10裂花になったもの。

ススキに戻る タニギキョウに戻る サワギキョウに戻る


検索サイトからこのページへ直接お越しの場合は、 トップページへお回りいただきフレームを表示させてください。