ナルコユリ

ナルコユリ(キジカクシ科)[鳴子百合]

名は、茎から花が垂れ下がる姿を鳴子にたとえたもの。「鳴子」とは、秋の田で音を出して鳥を追い払う道具のこと。板に小さな竹筒をいくつか結びつけてつるし、縄を引いたり風が吹くとからからと大きな音が出るようにしたもの。
低山や丘陵地の林内に生える多年草で長さ0.5-1.4mになる。
分布域に北海道を含めている文献やサイトが多いが、北海道にあるとは聞いたことがないし、少なくとも東北北部には自生しない。誤認または栽培品の逸出ではないかと思う。
根茎は太くて節間が短く、白色の数珠状で横にはう。茎は円柱形で稜がなくほぼ平滑で、下部は分枝せずに直立し上部は弓状に曲がる。
葉は互生しアマドコロより細長くて数が多く、長さ8-20cm、幅1-4cmの披針形~狭披針形で茎の上にいくほど細くなる。先は端の円い鋭形。裏面脈上に乳頭状の突起がある。葉柄は短いか不明瞭。若葉は中央に白い筋が入ることが多い。
葉腋から分枝する花柄を出し、緑白色の花を1-5個(普通2-3個)ずつぶら下げるようにつける。苞はない。花被片は6個で、先端部以外は合着して長さ1.7-2.3cmの筒形となり、先端は濃い緑色で直立または反曲する。花筒基部は緑色の膨らみがある。雄しべは6個で花糸の下半部は花筒に合着する。花糸離生部は長さ5-7mmで円柱形で無毛、上部は乳頭状またはいぼ状突起があり、下部は平滑。葯は長さ2.5-3mm。
果実は直径0.7-1cmの球形の液果で紫黒色に熟す。種子は長さ3mmの卵形。
春の新芽と秋の根茎は山菜として人気があり、少ないながら産直の棚に並ぶ。
ナルコユリやその近似種の根茎を干したものを黄精(おうせい)、アマドコロとその近似種の根茎を干したものを萎蕤(いずい)とよび、どちらも滋養強壮に用いるが、本来は中国産の別種を使用する。
盛岡市には黄精飴という江戸時代初期から作られているという餅菓子が売られており、これはナルコユリではなくアマドコロを使っている。本来ならば萎蕤飴とすべきところ、東北地方にはナルコユリが生えていないのでアマドコロを代用したものと思われる。
アマドコロはよく似ているが、主な違いとしては根茎の節間が長いこと、茎の中部以上に6本の稜があること、葉の幅は広いこと、花筒基部に膨らみがないことなどで見分けられる。花期も早く4-5月に咲き、花つきはナルコユリより少なめ。外で写真を撮ってきて家に帰ってから迷ったときに一番確実な見分け方は、画像を拡大してみて花筒基部の膨らみの有無を見ることだろう。
オオナルコユリは花期が遅く6-7月に咲き、全体が大きく高さは0.8-1.4mになり、花筒の長さは2.5-3.5cmになる。
ミヤマナルコユリは丈は低く、葉は卵形~長楕円形で花が茎の左右にはっきりと分かれてつき、花筒の先はすぼまる。
九州に産するヒュウガナルコユリは花糸上部の乳頭状突起やいぼ状突起が顕著で葉の裏面脈上にも乳頭状突起がある。
花期:5-6月
分布:本(関東以西)・四・九
撮影:2016.5.19 神奈川県横須賀市
ナルコユリ-2
この花姿を田んぼの鳴子に見立てた。 2016.5.31 神奈川県横須賀市

ナルコユリの果実
紫黒色に熟した果実。 2016.10.25 神奈川県横須賀市

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