シキミ

シキミ(マツブサ科)[樒・梻]

名は、実が特に猛毒なので「悪しき実」からの転という。また果実が重なってつくことから重実(しげみ)の転とも。別名ハナノキハナシバシキビコウノキ
旧分類体系では、花が似ていることからモクレン科とされたり、あるいはシキミ科として独立していた。シキミ科はシキミ属1属の木本のみの科であったが、APG分類体系ではつる植物からなるマツブサ科に近縁であるとして、マツブサ科に合一された。
全体にアニサチン、シキミン、イリシンを含み有毒で、特に果実は猛毒。葉や樹皮の粉末から線香や抹香がつくられ、生の枝葉は仏前や墓前に供えられる。社寺や墓地に植栽されているが、これは土葬時代の風習の名残で、オオカミやカラスなどの害獣から守り、また死臭を消す目的もあったという。材は緻密なので細工物や数珠などにする。

暖地のやや乾いた山地の林内に生える常緑小高木~高木で、幹は直立し、ふつう高さ2-5m、大きなものは10m、直径30cmに達する。樹皮は暗灰褐色で若木はやや滑らかだが、老木では縦に虫がはったような筋が入る。
葉は枝の上方にやや輪生状に集まって互生し、長さ5-15cm、幅2-4cmの倒卵状長楕円形~倒披針形で全縁、基部はくさび形で先は急に短くとがって鈍端。厚く軟らかい革質で滑らか。両面とも無毛で表面は濃緑色で光沢があり、裏面は淡緑色で葉を透かすと透明な油点が見えるが、中央脈以外の脈はよく見えない。葉をちぎると抹香の香りがある。葉柄は長さ0.7-2cm。
葉腋から短い花柄を出し、淡黄白色で直径2-3.5cmの両性花を1個つける。花被片は16-24個あり、外側のものは楕円形で短く、中部から上部のものは線状長楕円形で光沢があってやや波状にねじれる。雄しべは約20個で葯と花糸はほぼ同長。雌しべはふつう8個の心皮が輪生し、柱頭は長さ約2mmでやや外側に反り返ってしばしば淡紅色を帯びる。
果実はふつう8個の袋果が星形に並んだ直径2-3cmの集合果で、扁平な8角形となって9月に熟して裂ける。柱頭は残存して角状に斜上する。種子は猛毒、長さ6-8mmの楕円形で光沢のある朱色。中華料理に使われる八角は、近縁のトウシキミの果実でもちろん無毒。
淡紅色の花をつけるものをウスベニシキミという。石垣島と西表島に産するヤエヤマシキミは雌しべはふつう11-13個の心皮が輪生する。ミカン科の低木ミヤマシキミツルシキミは葉が細長く、葉をちぎると柑橘系の香りがあり、果実は赤い液果。のっぺりした葉がよく似ているモチノキは、葉をちぎっても抹香の香りはない。
花期:3-4月
分布:本(宮城・石川県以西)・四・九・沖
撮影:2020.3.3 川崎市宮前区
シキミの花
雄しべは約20個。 2020.3.3 川崎市宮前区

シキミの葉
葉は光沢があって側脈はほとんど見えない。 2020.1.30 横浜市南区

シキミの樹皮
樹皮は暗灰褐色で虫がはったような縦筋がある。 2020.3.3 川崎市宮前区

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