スミレ

スミレ(スミレ科)[菫]

名は、花が大工道具の墨入れ(墨壺)に似ているからという有名な説があるが、異説も多い。
スミレといえば、スミレ科スミレ属植物の総称としての意味もあるのだが、単一の種の名称としては本種を指す。紛らわしいので、他のスミレと区別してホンスミレとかマンジュリカとよぶ人もいる。スミレの仲間は、日本では基本種だけでも50種以上あり、変種、品種を含めると200種を超えるという。本種はその代表として古来から親しまれてきた。紋所にも使われ、スミレを図案化したものに「一つ菫」「抱き菫」などがある。なお、「菫」の字を充てるのは誤用で、菫菜とはセロリのことだという。
低地~丘陵地の日当たりのよいやや乾いた芝地やコンクリートの割れ目、石垣の隙間などに生える多年草。無毛または葉柄や花柄に毛があるものまで毛量は変化が大きい。根茎は短く、少数の太く長い黄赤褐色の根を下ろす。地上茎はない。
葉は全て根元から束生して斜上または直立、葉柄は長さ4-12cmでしばしば赤みを帯び、上部両側に目立った翼がつく。葉身は長さ3-8cm、幅1-2.5cmの長楕円状披針形でごく低い波状の鋸歯があり、先が円く基部は切形~ややくさび形。質はやや厚く、表面は緑色で少し光沢があり、裏面はやや白っぽくときに紫色を帯びる。毛の有無は変化が大きい。果期の葉は大きくなり、3角状披針形で基部はやや心形のものが多い。
花柄は根元から出て高さ7-15cmあり、直径1.5-2.5cmの濃紅紫色の花を1個つける。萼片は披針形で付属体は全縁。花弁は5個で長さ1.2-1.7cm、側弁基部に白色の突起毛があり、唇弁の中央は白色で紫条が入る。まれに側弁が無毛のものもある。唇弁の距は長く4-7mmで濃紅紫色。雄しべは5個で花柱を囲む。柱頭はカマキリの頭状。他のスミレより花期が遅い傾向があり、花の色もやや青みが強い。
果実は蒴果で、熟すと3片に裂開して乾くにつれて種子を飛ばす。種子の端にはエライオソームというゼリー状の物質(脂肪酸などを含む)がついていて、アリが種子を巣に運び、エライオソームを食べ終わると種子本体は巣外に捨てられ、うまい具合に散布される。
海岸性変種は葉が厚く光沢があり、北海道から鳥取県までの日本海側に分布するものはアナマスミレ、千葉県以西の太平洋側に分布するものをアツバスミレという。八重咲きのものはコモロスミレ、葉が細く鉾形になるものをホコバスミレ、紫条が入る白花種はシロガネスミレという。
よく似たノジスミレは葉柄に翼が目立たないこと、葉が直立せず先がややとがり微毛があること、距の色が薄いことなどで見分けることができる。
花期:4-6月
分布:北・本・四・九
撮影:1998.5.24 青森県横浜町
スミレ-2
葉はへら形で葉柄上部に翼がある。 2008.4.30 東京都八王子市

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