ツリフネソウ

ツリフネソウ(ツリフネソウ科)[釣舟草]

名は、細い柄にぶら下がる花の姿を帆をかけた船に見立てたとも、また釣舟(つるして使う花器)に見立てたともいわれる。
園芸植物のホウセンカやインパチェンス(アフリカホウセンカ)の仲間。絶えずしぶきがかかるような場所でも平気で花をつけている。花の後ろの円まった部分には甘い蜜がたまっていて、蜜を吸いに来たトラマルハナバチが花に潜り込み、花粉を背中に載せて他の花に移動していく。ところが、口吻の短いクマバチなどは、横から穴を開けて直接蜜を吸う(盗蜜という)。これに対しツリフネソウのほうも黙って見ているわけにもいかず、蜜の位置を微妙に変えているのだという。
渓流沿いなど山野の湿ったところに群生する1年草で高さ50-80cmになる。キツリフネよりも明るいところに生え、茎は多汁で軟らかく、やや赤みを帯びて節は膨れ、花序を除いて無毛。全草有毒で、誤食すると嘔吐や胃腸障害を起こす。
葉は柄があって互生し、長さ6-14cm、幅4-7cmの菱状楕円形で基部はくさび形で先は鋭くとがる。縁に鋸歯があり、鋸歯は細かく先は硬い小突起となり、花序に近い葉ではこの小突起がしばしば赤みを帯びる。
上部の葉腋から散形状の花序を3-4個、葉よりも上に斜上させ、数個の花をつり下げる。花序の軸に紅紫色の突起毛があり(上の写真でも見えている)、花柄は長さ1-1.5cmで細く、紅紫色。苞は卵状披針形で長さ約4mm。花は幅2.5-2.7cm、長さ2.5-4cm。萼片は3個で紅紫色の花弁状。上部の2片は小さく、長さ7-8mm、幅5-6mmの卵形、扁平で暗赤紫色で鋭頭。下部の1片は大きく、長さ約3cm、前半部は太い筒状で直径約1cm。後半部は急に細い管状の距になり、渦巻き状に巻く。内面に濃紫色の斑点があり、後半部は淡紫色で黄色を帯びる。花弁は紅紫色で5個あるが側方の大小2花弁がそれぞれ合着しているので3個に見え、合着した花弁は下側に唇弁状に広がる。雄しべは5個で長さ約4mm、花糸は淡白色、葯は淡黄白色で互いに先が合着してキャップ状に柱頭を包む。子房は長さ約3.5mmの短い円柱形で柱頭は長さ1.6mmの針状。花は雄性先熟で雄しべが花粉を出し終わると針状の柱頭を持った雌しべが伸び出してくる。
果実は長さ1-2cmの披針形で肉質の蒴果。熟すと5片に胞背裂開し、裂片は渦巻き状に巻いて種子を飛ばす。
白花をつける品種をシロツリフネ、花柄の軸に突起毛がないものをナメラツリフネソウという。
渡良瀬川流域に生えるワタラセツリフネソウは2005年に新種として発表されたもので、小花弁(合着した側花弁の上側の小さな花弁)が萎縮して先がとがらずに黒ずむなど、形態的、遺伝的にいろいろな違いがあるという。日陰を好むキツリフネは黄色の花をつけ、距はゆるく下方に曲がる。ハガクレツリフネは紀伊半島以西に生え、花序は垂れ下がり葉の下に隠れる。花色は白色~淡紅紫色。
花期:8-10月
分布:北・本・四・九
撮影:2006.8.27 青森県西目屋村
ツリフネソウの花-2
花の正面から。葉の縁の細かい鋸歯も見えている。
2010.8.28 岩手県八幡平市

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